📒クレームが増えると売上が伸びる理由-人間関係にも役立つ5つの対応方法
一定量の拡販が出来るようになると対応が必要になってくるのが「クレーム」です。「商品のスペック」「サービス内容」「アフターフォロー」「保証」「スタッフの対応」「料金」等、ビジネスのありとあらゆるものが「クレーム」の対象になります。
弊社でも「クレーム対応研修」などを取り扱うことがあります。企業が成長する上で「クレーム/クレーマー」は避けて通れない道であり、しっかりとした対応が出来ることでその「企業」「商品」「サービス」のファンを増やすことにも繋がっていきます。 今回はその対応方法や具体的な事例についての話です。そして「クレーム対応」の方法は「人間関係」にも役に立ちます。
そもそもクレームとは何か
クレームの目的
- 自分の意見への承認欲求…「こんな意見があるので取り入れて欲しい、認めて欲しい」
- 企業や商品に対して改善の期待…「自分が使っている/利用しているものだから、もっと良くなって欲しい/不便を解決して欲しい」
- 損害への補償や謝罪対応…「不利益に対する、サービスや商品代金の対価として補償して欲しい」「謝罪の意思を見せて欲しい」
- モンスターカスタマー(カスタマーハラスメント/カスハラ)…「ストレス発散」「エコーチェンバー現象に基づく正義感等」
等があります。これらの声を受けて「何故クレームに繋がったのか」「サービスや商品を改善していくこと」は企業の成長につながります。 言い換えれば 「クレームは企業が成長するためのネタの宝庫」なのです。
これを体現しているのが「牛角」(旧屋号:七輪)で有名な「レインズインターナショナル」の事例です。
牛角の1号店オープン当時、店舗経営が思うように行かなかった事から、ある試みを行いました。それは、お客様からお店についての「悪口」を言っていただき、その御礼としてお会計から300円を割り引くというもの。
厳しいご指摘もたくさんありましたが、それらを真摯に受け止め、すぐに問題解決に取り組みました。
その1つ1つの積み重ねがスタッフに真のプロ意識を根付かせ、今日に至る事になったのです。
全ては、自らを見つめ直すキッカケをいただいた『お客様の声』があってこそ。
私たちは今なお、『お客様の声』1つ1つを大切な「財産」と考えております。
皆様からの様々なご意見・ご感想をお待ちしております。参考)株式会社レインズインターナショナル 「お客様の声」
https://www.reins.co.jp/voice/voice.html
「レインズインターナショナル」では今もなお、全店会議では各店のクレームを集め、それに対してのフィードバックを行っているそうです。
クレームについてどのように対応すべきか
クレーマー対応で重要なのは「とにかく相手の話を徹底的に聞く」ということです。「クレームの目的」の通り 全ての「クレームには何らかの意見や意図」があります。 まずは「相手が言いたい/伝えたいことは何なのかを理解し分析する必要」があります。
動きや言葉の強さの差はありますが、数%程度の「モンスターカスタマー(カスタマーハラスメント/カスハラ)」を除き、クレーマーは「敵」ではありません。 対応する企業側が強硬な姿勢を最初から見せてしまうと、 クレーマー側も意固地になってしまう場合があります。 一番最初に必要なのは相手の立場に立って同調しながら徹底的に話を聞くという姿勢(傾聴)です。
クレーマーの正義
「クレームの目的」の段の通り、クレーマーには「クレームという行動」を後押しする(それが一般的に正しいか否かを別にして)「何らかの正義」が有ります。これに対応するために、絶対にやっていはいけないのは「けど・けれど」「ですが」「ですから」「先程も申し上げたように」のような「否定」「ネガティブな印象を与える言葉」は避ける必要があります。「相手の正義を否定」せずに、こちらの意思を伝えるためには「否定語」を使わずに話す対応が必要です。特に初期対応の段階では「その意見が正しいか否か」「どうすれば良いか」を判断する以前に「相手の意見を聞く」ことが相手への「同調」としても必要になります。
参考)エコーチェンバー現象による正論の怖さ
最近では検索エンジンの「パーソナライズ機能」が「個人の趣味嗜好に寄せた検索結果を表示する」ことによって「エコーチェンバー現象」に繋がることが有ります。(正確には「デバイス」や「キーワード」「ログイン状態」など条件によって異なります。)これによって、自分自身が「正論」とする意見が、正しくないことであっても「正論」=「一般的な正義」と強固に思い込んでしまう恐ろしさを孕んでいます。
世の中には様々な人がおり、様々な意見を持った人と触れ合うことが出来る。世界に開かれたグローバルでオープンな場で、「公開討論」のような形で意見を交換し合うことができるコミュニティがある。一方で、同じ意見を持った人達だけがそこに居ることを許される閉鎖的なコミュニティもあり、そのような場所で彼らと違う声を発すると、その声はかき消され、彼らと同じ声を発すると、増幅・強化されて返ってきて、「自分の声」がどこまでも響き続ける。それが「エコーチェンバー」である。
「エコーチェンバー効果」とは、エコーチェンバーのような閉じたコミュニティの内部で、誰と話しても自分と同じ意見しか返って来ないような人々の間でコミュニケーションが行われ、同じ意見がどこまでも反復されることで、特定の情報・アイデア・信念などが増幅・強化される状況のメタファー(隠喩)となっている[4]。
この「エコーチェンバー」の内部では、「エコーチェンバー」内の「公式見解」には疑問が一切投げかけられず、増幅・強化されて反響し続ける一方で、それと異なったり対立したりする見解は検閲・禁止されるか、そこまでならないとしても目立たない形でしか提示されず、すぐにかき消されてしまう。そうするうち、たとえエコーチェンバーの外から見た場合にどんなにおかしいことでも、それが正しいことだとみんなが信じてしまう[5]。
「エコーチェンバー現象」は、インターネット時代に特有の現象と言うわけでも、また政治的な意見に特有の現象と言うわけでもない。「エコー・チェンバー」という比喩表現は、インターネット時代となる以前の1990年にデビッド・ショー(英語版)が記事の中で用いたとされる[1]。インターネット時代におけるエコーチェンバー現象に関しては、2001年にはキャス・サンスティーンが、著書『インターネットは民主主義の敵か (Republic.com)』で言及していた[6]が、この表現の普及が特に進んだのは、2016年アメリカ合衆国大統領選挙が契機であった[1][6]。
参考)Wikipedia「エコーチェンバー現象」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E7%8F%BE%E8%B1%A1#:~:text=%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E7%8F%BE%E8%B1%A1%EF%BC%88%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC,%E7%8A%B6%E6%B3%81%E3%81%AE%E6%AF%94%E5%96%A9%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82
クレーム対応の5つのコツ/ポイント
クレーム対応の際の重要なポイントをいくつか上げてみます。これが全てではありませんが、基本的ないくつかの項目について覚えておくことで、クレームを抑えられるか、さらに炎上するかが変わってきます。
- 傾聴する…相手の話をしっかりと聞きます。対面の場合は「鼻の辺り」を見る(「目を凝視すると強硬な姿勢に見える」ため少し目線を外して鼻の辺りにずらすと柔らかく見えます)ことで、目線をそらさずに話を聞いている雰囲気を伝えることができます。
- 同調する…「頷く、相づちを打つ」など「傾聴」と同時に相手に「聞いている」姿勢を示すことで「同調の意思」を明示できます。「はい」を繰り返すと「失礼」と捉えられることも有るため、「ええ」「はい」「なるほど」「さようでございますね(か)」等、言葉を変えることも大事です。対面の場合は「相手の言葉を繰り返す」「呼吸を合わせる」ことを「ペーシング」と言いますが、これも同調による心理的抑制効果があります。また「個人的にはお客様の仰る通りだと思います」といった「立場を変えた感情を伝える」方法も感情的な昂ぶりを抑えてくれます。
- 落ち着く…「相手の発言/行為」に焦ったり苛立つ必要はありません。まずは「聞く」ことに終始して、落ち着いて対応することがポイントになります。俗にクレーム対応のテクニックとして「ガス抜き」と表現することが有りますが「徹底して聞く」ことでクレーマーのある程度の感情的昂ぶりを抑えることが可能です。また「何で何も言わないんだ」と言われても「お客様の声を漏らさずしっかり伺いたいと考えているからです」と応えることも「同調」の効果に繋がります。電話や対面の場合は「ゆっくり話す」「トーンやキーを普段よりも抑える」ことも効果的です。
- 横で対応する…これは立ち位置の話ではありません。気持ちの持ち方のことですね。「相手の隣で同調」という意味でもありますが「真っ正面で受け止めすぎない」という意味でもあります。クレーム対応研修で話すことが有りますが、全てのことを「誠心誠意」「全身全霊」で応えてしまうと受ける側の精神的な負担が大きくなってしまいます。特に物事を真面目に捉えすぎてしまう方は、これが原因でメンタルをやられてしまうことも有ります。商品やサービスの不具合であったとして、それを「ネガティブに自分のこととして」捉えてしまうと「変えられない過去」に対する負担が大きくなります。これを「ポジティブに会社のこととして」捉えることで「どうやったら未来を変えられるか」とすると、心理的負担を軽減出来ます。
- 上手く時間を使う…初期対応が必要な緊急性の高いものを除き「落ち着く」時間が必要です。また、内容によっては社内で精査したり、法的な検討などが必要になるケースもあります。その場で焦って即断即決せずに、営業であれば一旦持ち帰ったり、電話であれば保留や折り返しすることも大事です。対応のテクニックの一つになりますがコールセンターなどでの対応の場合、意図的に時間を空けてからコールバックする方法もあります。これは「相手が激昂している時間帯から少し時間を置いて、こちらのリズムで連絡する」「しっかり準備をした状態で対応する」ことで、精神的な優位性をを取らせない手法の一つです。ただし、検討や保留に時間がかかる場合は「中間対応」も重要です。「現在○○様からご連絡の件につきまして、社内上層部にて検討しております。○月○日○時までに改めてご連絡いたしますので、恐縮ですが今暫くお待ちください。」という繋ぎが有ると「誠心誠意の対応感」が伝わります。長時間放っておくことは、さらなるクレームにも繋がりますので慎重且つ丁寧な対応が必要です。
クレームを解決するために
「覆水盆に返らず」ですので、過去に起こってしまったことは変えることが出来ません。問題解決のために大事なのは、その後のフォローアップです。
商品やサービスであれば「返金」「返品」対応は簡単ですが、それがクレーマーに取って期待する回答ではないことが有ります。「何を求めているかを理解」すると同時に「どう答えるのかを考える」必要があります。時には直接的な答えではなく「話を聞いて社内で意見として進言することを伝える」「代替案を提案する」ことだけでも解決に繋がることがあります。
ある食品メーカーのクレーム対応の例
ある食品メーカーでの例です。その商品は「委託している工場経由」で生産されたものでしたが、ある時その生産マニュアルに従わずに出荷されており、これが原因で味覚に違和感を覚えるレベルの商品を店頭販売してしまいました。
メーカーはクレームが入るや否や「違和感へのお詫び」「商品の検査をしたいため着払い返品の旨の連絡」をお客様に伝えました。
数日後「食品検査の数値結果」「健康に異常を来すものではないことの説明」「再度のお詫び」「返金対応」と併せて「マニュアル違反が有った委託工場のライン即時停止」「自社工場へのライン切り替えの即時実施」と併せて「自社のその他の商品」をお詫びとして返品として送ったのです。
後日、そのお客様からはお礼のメールが有ったそうです。
参考)ある企業のクレーム事例
クレーム対応は人間関係にも役に立つ
ここまで「クレーマー」として「お客様」との関係性で書いてきましたが、これを「会社・学校関係」や「友人・家族」に置き換えると「クレーム対応のコツ/ポイント」を応用出来ることがあります。余談ではありますが、クレーム対応の仕方を覚えると人間関係の改善の一助になります。
- 理不尽な上司・同僚
- 面倒な学校の友達・先輩
- 興味の無いママ友
- 苦手なご近所関係
- 口うるさい義父・義母
相手の話を「しっかり聞く」ことの大切さ
繰り返しになりますが、大事なことは「相手の話を聞く」そして「何を言いたいのか理解する」ことです。そして、「相手が期待すること以上の回答」が出せれば「クレーマー」は「ファン」になり「ロイヤルカスタマー」に繋がります。何より最も怖いのは「声なきクレーム」です。今はSNSで誰でも情報発信出来る時代です。「声なきクレーム」を拾い、多くの意見を解決出来れば売上に繋がっていくでしょう。
業種/業態/立場/商品/サービス/関係性/相手など、状況によって対応方法を考えてみてください。
今、考えている「それ」アイデアとITの力で実現しちゃいます。
「クレーム対応研修を受けてみたい」「クレーマーによる社員の負担を軽減したい」方はぜひ、お問い合わせください。
原則1営業日以内にご回答いたします。なお、お急ぎの場合は050-5308-3540(月~金 10:00~19:00 / 土日祝休)までお気軽にご連絡ください。