サッカーの戦術をAIで分析できるかーAIに日本代表を分析させてみた

AIに日本代表を分析させてみた
「日本代表は強くなった」。そう感じているサッカーファンは多いはずです。しかし、なぜ強くなったのかを説明しようとすると、意外と難しくなります。「選手のレベルが上がったから」「海外組が増えたから」という説明も間違いではありません。ただ、それだけでは2025年以降の森保ジャパンの変化を説明しきれません。
実は現在のサッカーは、感覚ではなく構造で分析できる時代になっています。選手の立ち位置、ボールの移動速度、守備開始位置、パスネットワークなどをデータ化し、AIで解析することで「なぜ勝ったのか」「なぜ押し込まれたのか」を定量的に把握できます。
これは企業経営に似ています。「なんとなく売れている」「最近うまくいっている」という感覚だけでは再現性がありません。サッカーも同様です。勝利の構造を見つけなければ、再現できないのです。
2025年以降の森保ジャパンの変化
2022年カタールW杯の日本代表は、守備ブロックからの速攻が最大の武器でした。ドイツ戦やスペイン戦でも、相手にボールを持たせながら一気に縦へ運ぶスタイルで成果を出しています。
しかし2025年以降の日本代表を見ると、明らかな変化があります。それは「保持しながら攻める時間」が増えていることです。
従来の日本代表は守る、奪う、速攻するが中心でした。現在は保持する、相手を動かす、空いたスペースを使う、失った瞬間に奪い返すという欧州トップクラブに近い考え方が増えています。つまり、日本代表はカウンターチームから主導権を握るチームへ移行し始めています。
この変化は多くの人が「なんとなくボールを持つようになった」と感じている部分です。しかしAI的に翻訳すると「ポゼッションによる相手守備組織の変形と即時奪回率向上」という構造になります。

攻撃フェーズ分析
AI分析では攻撃を6つのフェーズに分解します。
1. ビルドアップ
2. 前進
3. 崩し
4. フィニッシュ
5. ネガティブトランジション
6. ポジティブトランジション
日本代表をこの視点で見ると、最も改善されたのは前進と崩しです。以前は最終ラインから前線へ直接運ぶ場面が多くありました。しかし現在は中盤を経由しながら相手守備ラインを動かし、数的優位を作る場面が増えています。
特に久保建英、三笘薫、堂安律、鎌田大地などは、相手を引き付ける、スペースを作る、第三者を使うというプレーが増えています。これは個人技ではありません。組織的な位置取りによって生まれる現象です。
AIでパスネットワークを分析すると、日本代表は以前より中央レーンの活用頻度が増えています。これは単なる横パスではなく、相手守備ラインを動かす意図的な保持と考えられます。
守備フェーズ分析
守備面ではさらに大きな進化が見えます。以前の日本代表は撤退守備が中心でした。現在はボールを失った直後のプレッシングが強化されています。
サッカーではボールを失った直後の5秒間が非常に重要です。この時間帯で奪い返せれば、相手の攻撃開始を阻止できる、再び攻撃できる、守備陣形を整える必要がないというメリットがあります。
欧州トップクラブが重視している即時奪回の考え方です。AIで分析すると、日本代表は守備の強さだけではなく、攻撃と守備の切り替え速度が向上しています。つまり守備力が上がったのではなく、攻守を分離して考えないチームになりつつあるのです。
世界基準で見た現在地
AI分析で見ると、日本はすでに組織力では世界上位レベルに近づいています。一方で差が残る部分もあります。それはゴール前での個人突破、狭い局面での創造性、試合を決め切る決定力です。
ただしここで重要なのは、「決定力不足」という言葉で片付けないことです。多くの人はシュート精度の問題だと考えます。しかしAI的に見ると、「ゴール前で優位な状況を何回作れたか」の方が重要です。
世界トップ国は決定力だけで勝っているわけではありません。決定的な状況を何度も作り出しているのです。ここが感覚と言語化の違いです。「決定力不足」という感覚を「高期待値シュート創出回数不足」という構造に置き換えることで、改善ポイントが見えてきます。
あなたの組織で、感覚的に語られている課題が構造として捉え直されているか、3つの観点で確認してみてください。課題が「気合い」「相性」「なんとなく」で語られていないか。打ち手が「もっと頑張れ」「工夫しろ」に流れていないか。改善の再現性が個人の経験に依存していないか。
2026W杯への展望
2026年W杯に向けて、日本代表は過去最高レベルの完成度に近づいています。特に評価できるのは、選手個人への依存度が下がっていることです。以前は特定選手の出来不出来が結果に直結していました。現在は組織として再現可能な仕組みが構築されつつあります。
サッカーの戦術をAIで分析できるか。結論は分析できます。ただしAIが理解しているのは感情ではありません。構造です。だからこそ、「流れが悪い」「押し込まれている気がする」という曖昧な感覚を、再現可能な改善ポイントへ翻訳できます。そして、その価値はサッカーだけではありません。経営も組織運営もマーケティングも同じです。
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